『お兄ちゃん、怖いよぉ・・・・・』
真っ暗な部屋の隅で、縮こまって震えていたのをよく覚えている。
外は雷鳴がとどろいていて、雨まで降っている。
『大丈夫だよ。俺が必ず守ってあげるから。』
そう言って、優しくあたしの頭を撫でる兄貴。
そこで目が覚めた。
他にも、たくさん見た。・・・・・・というより、思い出した。
過去夢というヤツだ。
『お兄ちゃん大好き!ずっとの側に居てね?』
『うん。俺はの側を離れないから、心配しないで。』
あの、幼かった頃。
『お兄ちゃん、大きくなったら、をお嫁さんにしてくれる?』
『うん、いいよ。俺が一生、の面倒見てあげるからね。』
あの頃、兄貴はあたしの憧れそのものだった。
何でも出来るし、何より凄く優しかったから。
+Beauty and the Beasts+
「だから邪魔だっつってんだろ!」
重い洗濯籠を持ちながらあたしはジローに回し蹴り。
確かその前は忍足でその前はあほべ。
仕事中、3人に交代で後ろから抱きつかれてきた。
・・・・・・・・・テメェらうっとうしいんだよ!!
「だぁもう!暑苦しいからくっつくな!!」
「じゃあ・・・・・・仕事終わったら膝枕してー・・・なら離れるCー」
「アホか!!はよ練習行ってこい!じゃないと次は投げ飛ばすかんね!」
「ちぇー・・・・・…わかったCー」
と、ジローは渋々練習に戻った。
「やれやれ・・・・・・練習行かすのも一苦労だわ・・・・・・」
洗濯籠をもう一度持ち上げて、さっさと干しに行こうとした時だった
「〜〜!オッヒサー☆」
後ろから誰かに抱きしめられた。
「しつこいんだよ!うっとうしいっつってんのがわかんねぇのか?!」
ドン!!
あたしは前かがみになり、ソイツを投げ飛ばした。
「ったく。次やったら投げ飛ばすっつったろ!!」
「どうした!?」
「今スッゲー音したCー!」
と駆け付けてきたレギュラー共。
・・・あれ?1、2、3、4・・・・・・・・・
「全員いる・・・・じゃあ今投げ飛ばしたのは・・・・?」
振り向くと、男はゆっくりと起き上がった。
「さ・・・さすがは俺の妹・・・・・ガードがかたいねぇ〜・・・・・・」
あたしは起き上がった男を見て驚いた。
「あ、兄貴!?」
「「「「「「何だって?!!」」」」」」
「久しぶりだね!そっちの子達はお友達かな?」
「はじめましてお義兄様!さんと清い交際をさせて頂いてる忍足侑士です!!」
「はぁ?!」
「またまたぁ〜!君もお友達でしょ?いや、さすがは関西人!!冗談が上手だねぇー☆」
そう言って笑う兄貴に周りは何故か引きつっている。
・・・・・お前ら、どうしたんだ?
「いやぁーウチのがいつもお世話になってます!俺はの兄の!よろしく〜!」
「もー兄貴ってば!」
「イヤイヤ可愛い妹がお世話になってるんだよ?兄として挨拶くらいしとかないとね☆」
兄貴がそう言った瞬間、全員が一歩退いて青ざめたきがした。
・・・・・・・マジでお前らどうしたんだ?
「んー・・・・みんな元気ないねぇ〜?ダメだよ?スポーツやってるのに」
そう言って苦笑いする兄貴。
「何時日本に来たの?」
「今さっき来たばっかり。あ、そうだ。暫く泊めてもらってもいい?慌ててきたからホテルの予約してないんだよねぇ〜」
「いいよ。兄貴なら大歓迎」
「よかったら君達も来る?晩御飯食べに。」
「・・・・・えっ?!ええんですか?」
真っ先に反応した関西眼鏡、忍足侑士。
「うん。いつも妹がお世話になってるからね。食べたいデショ?の手料理!いいよね?」
「まぁ兄貴がそう言うなら・・・・・(←とことん兄貴に甘い人)」
兄貴がそう言うとあいつらは何やらコソコソ集まって何か話をしていた。
「なぁ・・・・どうする?」
「行くの躊躇わねぇ?」
「何言うてんねん!お義兄様への好感度上げるいい機会やん。ちゃんの手料理も食えるし!」
「絶好のチャンスじゃねぇの。俺様は行くぜ!」
「俺もの手料理食べたいCー!!」
「行きましょうよ宍戸さん。せっかく呼ばれてるんですし。断っちゃ逆に失礼ですよ」
「そうだな・・・行くか。」
「じゃ・・・じゃあ俺も行く!」
レギュラー一致団結。
全てはの手料理とその兄への好感度UPの為に・・・・・・・・
「じゃあせっかくですから呼ばれます」
「うん。なら部活終わったらみんなでおいで。」
兄貴はニコリと笑って返事をした。
「じゃあ俺は先に帰ってるから。」
と言って、兄貴は立ち去った。
帰るって言っても・・・・・・家どこかわかるのかな?
「じゃ、部活終わったら全員部室前に集合な。余計な事したら拳が飛んでくると思え。・・・ピヨは長太郎が誘っといてくれる?」
「あ、はい。わかりました!」
長太郎が返事をすると、あたし達は自分たちの事に戻った。
そして、部活が終わり校門前で全員揃うまで待ち合わせ。
「ピヨと長太郎が遅い・・・・」
「あいつら、何時まで待たせんだよー」
「俺、腹減ったCー」
やっぱ、ピヨ来てくれないのかな?
「遅くなってすみません!」
遠くの方から声がしたので振り向くと、長太郎が走ってきていた。
あ、ピヨも来てくれた!
「ゴルァ!!おせぇぞ鳳!」
「よし、二人とも来たな。じゃ、行こ」
そしてあたし達は、家目指して歩いた。